シャガール展に行った。@東京学芸大学大学美術館

























Marc Chagall. 
【To Russia, with Asses and Others.(ロシアとロバとその他のものに) 】
ca. 1911/12. Oil on canvas. 156 x 122 cm. Musée National d'Art Moderne, Centre Georges Pompidou, Paris, France.
さて、今年行った展覧会はいったい幾つ目なのかそろそろわからなくなってきました。
ブログを振り返ればわかるかなと思って、ちょっと振り返ってみてみたところ、
ゲルハルトリヒター展
「マネとモダン・パリ」 、
「オルセー美術館展2010 ポスト印象派」
「ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち」
「ストラスブール美術館所蔵 語りかける風景 コロー、モネ、シスレーからピカソまで」、
「モネ・ルノワールと印象派・新印象派展」


ぐらいでしょうか。いわゆるストラスブール展に関してはブログでは触れなかったみたいだ。
さて、というわけで今回のシャガール展でおそらく7つ目の展覧会になる。おそらく今後が横浜美術館のポーラ展、ドガ展。国立新美術館のゴッホ展となるので、今年は10会場くらいにいくことになる予定であり、結構多いなぁ。


というわけで、タイトルのシャガール展。
閉館時間ギリギリですべりこみセーフだったおかげで早足で見て回らなきゃいけないことになった。
会場は五つのパートに区切られている。


Ⅰ. ロシアのネオ・プリミティヴィスム
Ⅱ. 形と光―ロシアの芸術家たちとキュビズム
Ⅲ. ロシアへの帰郷
Ⅳ. シャガール独自の世界へ
Ⅴ. 歌劇「魔笛」の舞台美術


Ⅰ. ロシアのネオ・プリミティヴィスム
ここは、ネオ・プリミティズムの代表者、ナターリヤ・ゴンチャローワ、ミハイル・ラリオーノフの2人の作品と一緒に、シャガールの初期の作品が多かった。この絵はその中の一つ、マルク・シャガールの【アトリエ】という絵であるが、どことなくゴッホの作品の影響を感じられる。すぐに連想されるのは【ゴッホの部屋】
である。歪んだ部屋にまたもや歪んだ家具がならんでいるのだが、全体としてはしっかりとした安定感が一枚のキャンバスの中に見られる。この時期の色使いは比較的どの作品も全体的にくすんだ暗い印象。製作年が1910年以降ということだが、シャガールは1910年にパリに移住しているので、そこで住んでいた「蜂の巣」(ラ・リュッシュ)と呼ばれるアトリエかと思われる。この時期のすぐ後には、その当時20世紀初頭にパブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラックらによって創始されたと言われる所謂キュビズムに触れることになる。


Ⅱ. 形と光―ロシアの芸術家たちとキュビズム


時代的には1911~17年くらいか。印象的なのはこの投稿の頭に持ってきた絵、【ロシアとロバとその他のものに】である。この絵だけキャンバスの背景に緑の壁が設置され、芸大側の「ほら、これが注目の絵だぞ」という圧力が感じられるが、そこはむしろこの作品への芸大側からの最大のアシストであるとも言える。漆黒に浮かぶ一部を直線で描かれたロバと首が切り離された人間の立体感が印象的。またロバの乳を吸う子供にどこか一抹の恐怖を感じる。色使いはやはり少しずつ鮮やかになり始め、シャガールのイメージである、赤、青、黄色、などをこれでもか!と浴びせ始める中期、後期へのつながりや、キュビズムへの系統が少しづつみえはじめる。この時代の他の作品を見れば、初期との違いがよく解かるので、幾つか載せておくことにする。




Marc Chagall. Adam and Eve. 1912. Oil on canvas. 160.5 x 109 cm. Saint Louis Art Museum, St. Louis, MO, USA.





Marc Chagall. Self-Portrait with Seven Digits. / Autoportrait aux sept doigts. 1912-13. Oil on canvas. 128 x 107 cm. Stedelijk Museum, Amsterdam, Netherlands.

Ⅲ. ロシアへの帰郷


Marc Chagall. "Grey" Lovers. 1917. Oil on canvas. 69 x 49.


この時代は、全体的に空虚な表情やキャンバス全体に「硬い」印象がある。この作品もどこか人間というより人形的で表情は無く、背景もモノトーンで描かれている。その中でも女性の赤い服がやけに目立つ。これの作品の隣に【緑色の恋人たち】という作品があったが、そちらも似たようなタッチで描かれている。この時代のロシアは革命が終わったばかりであり、その頃のロシアの内情の影響もあるのかもしれない。少なくともパリで描かれたような色彩による鮮やかさはあまり見られない時代だ。描かれている二人がこんな至近距離に置かれなければ、とても"lovers"であるとは思えないほど楽しくなさそうな恋人たちである。
さらにここのパートに【墓地】という作品も並んで展示されている。この作品はタイトルはおっかないが、絵は大変、素敵な墓地である。パッと見てゲゲゲの鬼太郎の「夜は墓場で運動会」の会場にぴったりだと思った。



とまぁ、こんな感じで、後半のⅣ. シャガール独自の世界へ、Ⅴ. 歌劇「魔笛」の舞台美術、というこれぞシャガール!というパートに関しては、次の投稿にしたいと思う。シャガール展というだけあって、シャガールの作品に対して触れているが、もちろんその他のロシア・アヴァンギャルドの作品も十分に見ごたえがある。さらに一つ触れておきたいのは、この東京学芸大学大学美術館の展示方法である。壁紙の色を変えたり、音楽を流したりと、その展覧会場の作り方、作品の見せ方がとても素晴らしく、そういう点も気にしながら行かれる方は見てきて欲しい。




 『シャガール-ロシア・アヴァンギャルドとの出会い』展公式twitterアカウント→こちら

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松岡美術館に行った。やることねーからな。


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松岡美術館に行って来た。

Matsuoka Museum of Art 松岡美術館公式サイト

モネ・ルノワールと印象派・新印象派展】が僕の妹の誕生日の前日(9月26日)までやっているというもっぱらの噂で、自転車でひたすら明治通りを南化して、さっさっさっと曲がったところにある松岡美術館に行ってきたよ。

入り口でチケ買うとすぐにディエゴ・ジャコメッティの【猫の給仕頭】が出迎えてくれる。これ、超かわいい。今写真持ってくるから、みんな見て見て。えーっと、えーっと、これこれ。

























超かわいいよ、猫。超かわいいよ。こんな猫欲しいよ。
猫「ご主人様、晩ご飯の用意ができましぁ。どらやきです。」
俺「帰れ(土へ)」
猫「・・・。」
俺「・・・嘘やで!!」
とかやりたいよ。

というわけでテンションウナギ登りで展覧会スペースの2階へ。
部屋は2部屋に分かれています。
まず一つめの部屋。
モネ、シスレー、ルノワール、ピサロといった感じ。意外にも巨匠の名前がずらり。
作品はあまりメジャーではないし、年代も全盛期のでは無かったりするが、逆にそれが貴重な空間を作り出している。気に入ったのは
ピエール:オーギュスト:ルノワールの【リシュアン・ドーテの肖像】という絵。
赤い背景に少女が座っているのだが、やっぱりすごいのが肌の質感。もうね、ちょうぷにぷにのまるまる。ポヨンポヨンのスーべスベであることが伝わってくる。今このブログをご覧になっているあなたがどれだけ努力して、コスメったところでかないやしない、そんなサンクチュアリー。やはりルノワールのすごさは「肌」である、というか、ルノワールの描く人間の質感が好きである。彼は印象派の中でも肖像画を多く描いているので是非ご覧になって欲しい。こことかで。そういえば、この展覧会のチケットやポスターに使われてたのこの絵だったはずだ。

で、二つ目の部屋。
作者としては、アンリ・モレ、マクシム・モーフラ、ギュスターヴ・ロワゾー、ルイ・ヴァルタとなる。
正直に言ってこう字面で並べてみても、「え?だれそのひと」っていう人たちばかりだ。
アンリ・ルソー、マキシマム・ザ・ホルモン、ギュスターヴ・モロー、ルイ・サハとかだったら「おーっ!」ってなるのだが、「お~?」ってなるメンツばかりだ。
だが、しかし、ばっと、はうえばー。
意外にも心を打つのは、こっちの部屋だ。

印象的なのは、アンリ・モレの【ブルターニュの海岸】
陸と海の構図から配色から絵の具の力強さまで、とにかく圧倒的圧力であった。
穏やかな海岸にも、繊細だが力強い筆運び。とにかく個人的にはこの展覧会イチオシである。

あと、アンリ・マルタンっていう画家の作品が最後に4点あったんだが、どれもよかったなあ。絵が無いのが残念だけど。




あと、残念繋がりでもう一つ。この美術館、写真撮影OKなのね。帰って来てから気づいたよ。あと、美術館に行くと毎回マグネットを買う僕だけど、今回はなぜかマグネット売ってなかったよ。まぁ、とりあえず、作品数もそんなんい多く無いのでさくっと見れてオススメです!これから幾人は是非カメラを持っていってらっしゃい!

次回は『東京学芸大学大学美術館に行ってきたよ。自転車で。』になる予定です。